トップ > 研究内容
自然に降り注ぐ太陽光や室内の弱い光を利用する光エネルギー変換は、エネルギー問題や環境問題に直結する重要な課題です。天然の光合成においては、励起エネルギー移動反応、光誘起電子移動反応、更に多電子酸化還元反応が一方向的にナノスケールで配置されていますが、これ同様に人工的に構築することは困難です。長井研究室では、その基本概念をまねて、高効率な光エネルギー変換を得ることをめざし、一方向的な電子移動と両端に酸化還元反応を空間的に配置に着目しています。この観点に立ち、有機半導体p-n接合体太陽電池の活性層を、電極を用いずに、気相や水相中において、光反応を調べるところから、研究を始めました。膜型にした可視光応答光触媒は、従来の無機可視光光触媒と異なり、全可視光によく応答することが明らかとなりました。太陽電池との類似点もあるのですが、いまでは、相違点も多く明らかになりました。特に、空間の一方向性だけでなく、さらにこれら各プロセスの反応速度をマッチさせることの必要性が顕在化してきました。これらの知見に基づき、高効率化のための設計指針をたて、研究に取り組んでいます。また、同時に、社会実装を目指して、加工性の向上や、低価格化、スケールアップ合成にも取り組んでいます。
高出力レーザーは、出力(=強度×繰り返し数)の増加と小型化の面で日進月歩であり、市販化も進んでいます。こうした高強度の光は、穴あけやパターン形成という加工ではなく、高温高密度のプラズマ状態の形成とそこから発生する量子線発生に応用可能です。
この考え方がつい最近実用化され、半導体産業において微細加工技術に用いられようとしています。レーザープラズマ方式と呼ばれ、ここでは、レーザー光を物質に集光し吸収させ、加熱させてプラズマを作り。400W程度の波長13.5nm(EUV、極端紫外光)の光源として利用します。長井は、大阪大学在籍時に、低密度スズにレーザーを照射することで著しく13.5 nmの発光が高効率化するという、この基本特許を出願し、権利化されています。現在の次世代実用光源試験機で採用されているのですが、一台100億円を超え、大学の研究室で購入するのはほぼ無理です。
長井研究室では、極端紫外線を発生できるレーザーと計測装置がインストールされており、簡便に13.5nmの光を発生させることができます。レーザーの標的材料を工夫することで、実際に13.5nmの発光が増加する様子が見られています。現在は、小型の極端紫外光源化するために、10Hz以上で供給する実験に注力しています。